最近、昭和生まれの人にとっては懐かしい風景を見かけるようになりました。しばらく途絶えていましたが、再び蓮華を育てる農家が増えているのでしょうか、田んぼ一面を赤く染める蓮華畑を目にするようになりました。
そんな風景に出合うと、ふと足を止めたくなる人も多いのではないでしょうか。蓮華畑を眺めながら。蓮華を摘んで髪飾りやネックレスを作ったり、花の蜜を吸ってみたり……、幼い日々の記憶が鮮やかに蘇り、何か忘れていたワクワク感に心を躍らせるのは私だけではないと思います。
田んぼに入って蓮華を摘むことは、決して微笑ましい光景とはとらえられない時代です。特別の許可がない限り、昭和生まれの人々が体験した日々を、今の子どもたちが同じように楽しむことはできなくなっています。秋に蓮華の種を撒き、春に花を咲かせた後、蓮華を田んぼにすき込んで肥料とする農法は、化学肥料に頼らない分、農家も手間や労力がかかります。そんな農家の方の苦労を思うと、子どもたちが勝手に田んぼに入ることが許されるわけではありません。
木曽川町連区の3小学校では、毎年、農家のご厚意で田んぼをお借りし、田植えや稲刈りの体験をさせていただいています。その田んぼで、子どもたちが種を撒き、少しでも蓮華摘み体験ができるといいなあ、なんて思います。