「徳川綱吉の思い」

 徳川5代将軍である徳川綱吉は、”犬公方”と呼ばれ、「生類憐れみの令」という悪法を発令した将軍として知られています。はたして、綱吉は本当によくない将軍だったのでしょうか?

 近年、綱吉に対しての評価が変わりつつあるそうです。それは、以下のような理由からです。

「生類憐れみの令」は、犬だけでなく、蚊やハエまでも殺してはいけないというものでした。しかし、この法律の本当の目的は、”命を大切にせよ”ということだったのです。当時、武士は「試し斬り」と称して、自分の刀の切れ具合を試す目的で、平気で町民を斬り殺すことがあったそうです。戦国時代の名残がまだ続いていた時代だったんですね。「命」を粗末にする風潮がありました。人だけでなく、命あるものすべてを大切するこの法律は、日本人の価値観を180度転換させることになったのです。綱吉の時代から、『命は大切にする』という価値観が生まれました。江戸時代の太平の世は、ここから始まったとされています。この価値観が脈々と今日まで受け継がれています(幕末や昭和の初めはこれが崩れましたが・・・・)。

命を大切にすることは、私たちにとって大切な精神です。平和な時代を創り出すために、人々からの批判をものともせずに法を発令した綱吉の熱意を、私たちも受け継ぎましょう。