「年賀状」

 元日、私にも年賀状が届きますが、その大半は長い間賀状以外には連絡を取ってもいない知人からのもので、懐かしく思いながら一枚ずつ眺めます。

 数年前の春、その中の一人である学生時代の友人から、封書が届きました。学年同窓会を一年半後に開催するので、連絡先をまとめたい。個人情報管理の厳格化によって大学同窓会の持つ情報は流用できず、個人のネットワークに頼って、学年全員と連絡を取ろうというのです。

 自宅生は少なく、卒業後は全国に散らばったまま20年以上、電話番号もメールアドレスも変わっています。SNSを活用している人は多くない。そこで頼りになったのが年賀状です。とりあえず最新の住所は分かるわけで、私も何通か手紙を書いて送りました。幸い同じ専攻の人達とは連絡がつき、通信アプリでつながることができました。

 さらに、同窓会開催の寸前にも、アプリでつながっていない他学部の友人からの三次会のお誘いが封書で届きました。宿も店もインターネットで当たり前に予約できるのに、最初の連絡は時間のかかるアナログな手段しかないことに、お互い苦笑を禁じえませんでした。

 携帯電話を持たない学生時代を過ごした私たちも、一度連絡が取れてしまえば返信はe-mail。実はコロナ禍を挟み、同窓会は二年遅れで実施されたのですが、それまでの間は通信アプリのグループトークを使って昔話に花を咲かせ、技術の進化はすごいと感心したのも事実です。

 さて、年末に年賀状を作成しながら、改めて、年賀状に電話番号やメールアドレスを記す人は希少になったなとか、アプリだけでつながっている若い子たちは、将来どうするのだろうとかいろいろ考えてしまいました。

 年賀状を出す人はどんどん減っています。私の家族も年賀状は作成しませんし、正直私も面倒に感じることがあります。それでも、しばらくの間は年賀状のつながりを大事にして、やり取りを楽しんでいけたらと思います。